2015年01月19日

『民王』池井戸潤


民政党の武藤泰山は、ようやく内閣総理大臣の座を手にしたが

漢字もろくに読めない大学生の馬鹿息子・翔と

身体が入れ代わってしまった。

それどころか鶴田経済産業大臣と息子の鶴田航、

犯人の一人と疑っていたライバルである

憲民党党首の蔵本と娘のエリカが次々と入れ代わってしまう。

テロリストの仕業か、それとも某国の陰謀か。

ユーモアを交えながら政治家の在り方を問う

痛快政治エンターテイメント小説、池井戸潤の「民王」。

はじめは良くある「身体が入れ代わる物語」かと

ちょっと読んだだけで後回しになっていた本でしたが、

続きを読みはじめたら思いのほか面白く一気に読んでしまった。

既に「鉄の骨」や「空飛ぶタイヤ」などで評価されていますが

あらためて得意の銀行・金融もの意外でも

楽しめる作品を生み出す底力を見せつけられた感じです。

2013年6月10日文庫第1刷出版/2014年4月15日第13刷版購入





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ラベル:民王 池井戸潤
posted by のっぽ at 12:51| 池井戸 潤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月12日

『BT'63』池井戸潤


二年前、精神の病で入退院を繰り返している中、

仕事も家庭も失った大間木琢磨。

療養生活中、妻だった亜美と暮らしていたマンションから

実家の川崎に戻り母と生活を始めていた。

夏服を出そうと押し入れの中を探している最中、

亡くなった父親が昔勤めていた運送会社の

30年以上前の制服を見つける。

記憶が脳裏に蘇ってきながらも

母との会話で食い違いがあることに胸騒ぎが起こった。

その夜、気になり、その制服に袖を通すと昭和30年代の東京へ

タイムスリップが起こった。

そして、若き日の父・史郎の純愛や

殺人事件に絡んだ壮絶な過去の秘密が少しづつ明らかになっていく。

これは夢なのか、それとも精神の病が完治していないのか、

また、寡黙で真面目な父に何があったのか、

琢磨は過去と現代を行き来しながら真実を探り始めるー。


得意の金融モノとは一味も二味も違う

池井戸潤の長編小説「BT'63」。

読みはじめはSFおよびサスペンスかと思ったが

ラブストーリーが主であり、

全ての要素が入ったまさしくエンターテイメント作品。

池井戸ファンには好みが分かれるかもしれませんが

これはこれで楽しめました。

上:2006年6月15日文庫第1刷発行/2014年7月15日第29刷発行購入
下:2006年6月15日文庫第1刷発行/2014年4月23日第27刷発行購入







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ラベル:BT'63 池井戸潤
posted by のっぽ at 19:23| Comment(0) | 池井戸 潤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月06日

『かばん屋の相続』池井戸潤


6つの短編が収録されている

池井戸潤の短編集「かばん屋の相続」。



1話目は「十年目のクリスマス」。

あきほ銀行融資部調査役の永島慎司は、

クリスマスの二週間前の日曜日、

10年前に融資できずに倒産してしまった神室社長が

大きなショッピングバッグを抱えて

高級ブランド店から出てきた。

負債を抱え、自己破産までしたはずなのになぜ?

後をつけ、乗り込む高級車のナンバーを控え、

調査を独自に始める。

二度にわたる合併の前、東京第一銀行勤めの

若かった頃には気がつかなかった点に気がつき、

真実が浮かび上がる。

ラストの結末は詐欺で訴えてもいい内容だが人間味を感じる。



2話目は「セールストーク」。

京浜銀行の北村由起彦と部下の江藤尚人が

小島印刷の社長である小島が申し出た

三千万融資緒の断りの場面から始まる。


話は遡り、熱意ある担当の江藤は

驚くほど力のこもった稟議書を書いてきたが、

支店長の田山は要領が良く、

利用できるところは抜け目なく利用するが

不要になればさっさと切り捨てる、

利口だが血の通わない男であり、

近々、支店の「与信検査」が控えており、出世を気にして

本部畑で融資部に顔がきくにも関わらず推さなかったため、

結果、融資見送りになったのであった。


話をしているうちに小島は、支店長が反対したことを知り、

目の奥で赤い炎がちらちらと燃えていた。

支店長の田山をはじめ底意地の悪い性格の検査官・氷室など

勧善懲悪が分かりやすく楽しめるストーリー。



3話目は「手形の行方」。

関東第一銀行の堀田が一千万円の手形を紛失した。

学生時代からロックバンドで鳴らし、ギターの腕はプロ並み、

二十八歳でミュージシャン志望。

銀行の仕事はそれまでの腰掛けと曰く付きの行員。

しかし、業績不振の先期末、二十億円という大口融資を獲得したりと

驚くほどの実績もあげており、女性行員からは人気がある。

上司の伊丹を含め、全行員で探しに探したが手形は出てこず、

いろいろな策を考案しているうちに、

伊丹はロッカールムから聞こえてくる行員同士の会話から

紛失したからといって過失だけとは限らないと、

いろいろな人を疑いはじめた。

そして、思わぬ展開となっていくー。



4話目は「芥のごとく」。

ずんぐりむっくりの体型にパーマがとれかけ、

金縁めがねをかけた52歳になる豪傑女社長の土屋と

預金を取り扱う営業課から企業融資を行う融資課へ異動したばかりの

新人銀行員2年目の山田との人情物語。

派手な展開はないが池井戸作品の中でも

かなりノンフィクションに近いと思わせる仕上がりで

ちょっと切ないストーリー。



5話目は「妻の元カレ」。

就職氷河期と言われた時代に東都銀行に入行した

ヒロトだが10年の月日が流れ、

希望の海外勤務どころか自分の実力を冷静に見極め、

日々を過ごしていた。

ある日、妻の元カレ森中から

会社設立および代表取締役就任のハガキが妻宛に届いていたー。

最後、意味深な終わり方が読み手の想像力をかき立てます。



6話目は表題の「かばん屋の相続」。

松田かばんの社長・松田義文が肺ガンで亡くなった。

遺言状は、専務次男の均ではなく、銀行勤めの長男・亮へ譲ると書かれていた。

傲慢でかばん屋をバカにしていた長男へなぜ?

遺言状の偽造を疑う中、長男が跡を継ぎ、次男が新会社を設立する。

そんな中、思わぬことが起こるー。

会社とは数字や効率だけでなく人柄や技術など

目には見えない大きな財産があるということを改めて思わせるストーリー。



池井戸らしい勧善懲悪もあれば少し違った人間味のある物語もあり

楽しめる短編集になっています。

2011年4月10日文庫本初版/2014年5月10日27版購入





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posted by のっぽ at 07:21| Comment(0) | 池井戸 潤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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