2014年11月05日

『熱球』重松清


主人公の「僕」は三十八歳。

大学の同級生だった和美とは、

十八歳で出会って、二十五歳で結婚した。

アメリカの移民史を研究している和美は、

勤務先の私立の女子大から特別研究員として

ボストンの大学へ派遣されている。

帰国して論文を提出すれば助教授から教授へと格上げされる。

娘の美奈子は吃驚するほど大人びたことを言うかと思えば、

幼稚さをのぞかせる陽気な小学五年生の女の子。

そんな「僕」が、娘と人口十数万人の港湾都市にして城下町、

故郷の周防市に帰ってきたが

あることを思い出さずにはいられなかった。


二十年前、街で一番、県内でも五指に入る進学校の

県立周ム高校の野球部だった「僕」は、

甲子園常連校の控え投手の牽制球より遅いと評判で

当事者の「僕」も事実だろうと思っていたほどのエース。

しかも、レギュラーメンバー九人のうち三人は中学時代補欠、

不動の四番バッターは中学時代

七番しか打たせてもらえなかったチームだった。

そんなチームだが最期の夏の甲子園大会の県予選を

嘘のように勝ち進んでいった。

しかし、決勝戦前夜ある事件で出場辞退になってしまうー。


懐かしいグラウンドでは、後輩たちが、

あの頃の僕らと同じように白球を追っていた。

仲間の亀山と神野は高校卒業後も周防に残った。

町の英雄から一夜にして転がり落ちた

自分たちの立場を黙って受け容れていた。

そして、あの恭子が戻ってきていて

息子の甲太はソフトボールで優秀な成績を収めていたー。


故郷へ帰ってきても揺れ動き続ける心が仲間と再会し、

忘れたい悲劇と向かい合うことで迷いが無くなっていくー。

おとなの再出発を描く重松清の「熱球」。

ザワ爺がいい味出しています。

約7年前に読んだため、一部を読み返してみましたが

仕事、生活に思う所がある今こそ再読してみたい作品。

2007年12月1日文庫本初版/2007年12月1日初版購入





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ラベル:重松清 熱球
posted by のっぽ at 08:29| Comment(0) | 重松 清 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月04日

『疾走』重松清


約9年前、妙に生々しくリアリティーがあり、

ハラハラしながら読み進めば進むほど、

途中で読み終えることができなくなって、

上下巻を一気に読んだ記憶がある重松清の「疾走」。

物語は、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄、

そして中学生のシュウジの4人家族が平凡に暮らしていたが

兄が犯した犯罪により、

シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれるー。

引きこもり、家庭内暴力、放火、借金、一家離散。

過酷な運命に翻弄される15歳の少年の運命を描いた衝撃作。

読み終えた後も暫くの間、

心に鉛のような重たいものが残ったことも覚えている。

また、ファンタジー色がある「流星ワゴン」を読んだ後の

2作品目だったため重松清の振り幅の広さに驚かされもした。

久々に再読するには勇気と覚悟がいる。

上:2005年5月25日文庫本初版/2005年5月25日初版購入
下:2005年5月25日文庫本初版/2005年10月30日6刷版購入







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ラベル:重松清 疾走
posted by のっぽ at 08:30| Comment(0) | 重松 清 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月26日

『流星ワゴン』重松清


流星ワゴンについて思い出すのは、本が好きだと公然で言ってた頃、

初対面の女性に「どの本がおすすめ?」と聞かれ、

当時感動した重松清の「流星ワゴン」を勧めた。

その女性は「知人に勧められ読んだことがあるけど

主人公が男性であまり感情移入できなく、それほど○○○○○。」

「・・・。」

それ以来、あまり人前で本が好きだとは言わなくなった。

いきなり話がそれました(苦笑)


5年前の新聞の社会面にある家族が

初めてのドライブの日、スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれず、

交通事故死した小さな記事が掲載されていた。

普段ならすぐ忘れるのだが、

家族の構成と年齢がそっくり同じだったため覚えていた。

様々なことが重なり死にたいと思っている主人公のところへ、

その事故死したはずの家族が乗る不思議なワゴンが現れ、乗ることになる・・・。


ファンタジーと言って良いのだろうか、

とても不思議なストーリーですが、

奇を衒った見かけ倒れとは違い、とても感動的な物語。

「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた秀作です。

2002年2月単行本出版
2005年2月文庫本出版/購入




posted by のっぽ at 08:19| Comment(2) | 重松 清 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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